いつかは走ってみたい『世界のあの道この道』第8回アマゾン縦断道BR319

 南米大陸、アマゾン川沿いに広がるアマゾンは、地球上の熱帯雨林の約半分を占めます。大河アマゾン川の支流が血管のように流れていることと、雨季と乾季では大きく水量が異なり、水没してしまうエリアもあるため、アマゾンをバイクで縦断または横断するには、ルートが限られます。

 BR319(ブラジル国道319号線)は、アマゾンの下限でもあるロンドニア州のポルトベージョからアマゾナス州の州都であり、アマゾンにおける要塞でもあるマナウスへと約840km、アマゾンを縦に貫く唯一のルートです。

今回から地図を入れてみました

 国道=ハイウェイではありますが、ブラジルでは最悪のハイウェイとも揶揄されるほど、路面は荒れており、雨季には通過が困難となります。
 1973年、ブラジルの経済成長とともに、ルートが開通しましたが、その後メンテナンスされることはなく、1988年には不通に。2008年に道路工事が再開しましたが、大部分は荒れており、まだまだ時間がかかりそうです。

今にも崩れ落ちそうな橋を何度も渡ります。雨季には数メートル水位が上昇します

 ポルトベージョからマデイラ川を渡ると319号線がはじまります。そこから約200km先のウマイタまではきれいな舗装路が続きます。この先、マナウスまでの約640kmには、町や村はもちろん、食料やガソリンの補給ができる場所は一切ありません。もちろんその間はキャンプ泊をせざるを得ませんので、必ずウマイタにて最低2泊3日分の物資とガソリンを確保しておく必要があります。

ロンドニア州のポルトベージョの街並み
ポルトベージョの港。2014年の時点では橋の工事が進められていましたが、今は開通しています
マデイラ川を渡る
ウマイタまでは、素晴らしいハイウェイが続きますが、、、

 ウマイタを出発し、319号線を北上すると徐々に森の濃度が濃くなり、心細いダートの一本道へと変わります。また、たまに川があり、木造の橋がかかっていますが、今にも朽ち果てそうな部分もありますので、注意が必要です。

朽ち果てそうな標識。マナウスまで640km
はじめは道沿いに集落もありますが、徐々に減っていきます
赤土のダートが続きます
徐々に道は細くなり、荒れてきます。周りの緑も濃くなってきました
焼き畑によってアマゾンの面積は年々減少しています
橋を渡る時には用心を。横板がないところもあります

 晴れて乾燥していれば走りやすいのですが、、、一度雨が降れば、赤土の路面は泥沼と化し、マディが続きます。このような状況ではなかなか距離が延ばせません。

チュルチュルのマディに。アドベンチャーがひたすら続きます
この時には一台だけ対向車に出会いました。しかも故障中、、、

 BR319沿いには、50kmおきに鉄塔が立っています。その周辺は開けていますので、キャンプには最適でしょう。この時は、乾季のためか、不思議なほど、蚊などの虫はおらず、深い森に囲まれながら、意外にも快適な夜でした。

キャンプ1日目。汗や泥を流せる場所もなく、そのまま眠ります
キャンプ2日目。湿気はありますが、静かな夜明けは神秘的
そして、泥の道はまだまだ続くのでした

 3日間、苦労の果てにBR319を走破すると、アマゾン川にぶつかります。ここからマナウスまでは、フェリーにてアマゾン川を渡ります。

苦労の果て、ようやく文明社会に。あと一息!
大型フェリーに乗り継ぎ、大河アマゾンを横切ります。ホッとした瞬間

 航海の途中では、アマゾン川本流のソリモンエス川と最大の支流ネグロ川が交差するポイントがあり、濁った川とタンニンを含んだ黒色の川がぶつかりあう、ソリモンエスの奇観も見ることができます。

右がソリモンエス側、左がネグロ川

 19世紀にゴム産業で栄えたマナウスへ到着!BR319の終点です。

苦労の果て、マナウスに到着!!!

 マナウスからは舗装整備の生き渡った快適なBR174にて、さらに北上し、ベネズエラまでアマゾンを縦断することも可能です。この先はサバンナとなります。

 単独ではなかなかハードなルートが続きますが、ポルトベージョからマナウスへは、マデイラ川を舟で移動すること可能です。


 過去、ツアーでは1度だけアマゾン縦断を実施しましたが、次回はあるのでしょうか?!